農園主と労働者の関係性
ホンジュラス最終日、オレヤナ農園のブライアンさんと一緒に農園を訪問しました。
僕が滞在している町から彼の農園までは車で2時間半ほど。道中、道路を塞ぐ牛の行列に足止めをくらったり、1世紀以上前に作られた石橋(泥と卵で固めてあるそう!)を渡ったりしながら向かいました。
農園に着いてまず驚いたのは設備。
ペナゴス製のウェットミル(コーヒーの果実から豆を取り出す設備)、ムシラージと呼ばれる粘膜質を水圧で除去するリムーバー、収穫ロットとグレードごとに細かくわけて管理できるたくさんの発酵槽、温室の中に作られたコーヒー豆を乾燥させるためのアフリカンベッド、、、
ひとつの農家が使うとは思えないほどの整った設備を所有していて圧倒されてしまいました。
家族で農園を引き受けてからまだ8年とのことで、以前にどれだけの設備があったのかはわかりませんがコーヒー生産について様々なことを試していくためには充分すぎるほどの設備です。
敷地内には労働者たちが寝泊まりする部屋、たくさんのトイレやシャワー、小さな教会などがあり、他にも養豚や養鶏なども行っていて、このオレヤナ農園では労働者に対して3回の食事の提供やきちんとベッドで寝れる環境などを整えているそうです。
賃金ももちろん大事ですが、労働環境はそこで働く人たちのモチベーションに直結しますので、良いコーヒー作りにはとても重要です。こういった細かい気配りが彼のコーヒーの美味しさにつながっているのでしょう。
その後、農園をゆっくり案内してもらいながら様々な説明を受けました。前回紹介したルイス君の農園のあるサンタバルバラとは全く違った環境の農園です。
標高や広さなどの基本的な情報から、植えている品種や植え替えに関する今後の予定など、ひととおりの説明を受けて下山。街のレストランで食事をしてホテルへ戻りました。
彼は以前からカリオモンズコーヒーのためのロットを作ってくれたり収穫のタイミングのリクエストに応えてくれたりしていましたが、こういった充実した設備と彼ら自身の細やかな生産体制のおかげなのだと改めて感じた1日となりました。
スペシャルティコーヒーが美味しいのは素晴らしいことなのですが、その美味しさの恩恵は私たち消費者はもちろん、作り手にこそ還元されるべきだと僕は考えています。
ブライアンさんのように末端の労働者たちにまでその恩恵が行き渡るシステムを整えながらコーヒー作りを行う生産者たちと長く関わっていけたらと思っています。