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イトログ_22

『2021年を振り返り』

ひさしぶりのイトログ。近ごろ行く先々で読んでますと声をかけられることも多く、ありがたい気持ちで胸いっぱいになりつつも(最近書いてないな)と思うことも多くなった。久しぶりに書いてみようと思う。

2022年を迎え、昨年を振り返ってみた。

2021年に起きた大きな出来事をひとつ挙げるとしたら、夏にコロナウイルスに感染して4ヶ月間ほど嗅覚を失ったことだろう。同時に食品の風味を感じることもできなくなった。

事の経緯は端折るが、発症して二日目の朝。飲んだお茶の味がしないことで気づいた。当初は「ほんとになるんだ」くらいにしか受け止めておらず、快方に向かうにつれ治るだろうと高を括っていた。

幸い他の症状は軽く、一定の隔離期間をおいて完治とされたのだが、一向に嗅覚が戻る気配はない。曲がりなりにも『味』を生業にするものとして、この現実は死刑宣告にも似たものだった。

美味しいという快感は赤ちゃんでも知っている極めて原始的な感覚。そんな当たり前のようなことがこんなにも日々に喜びを与えていたのかと驚いた。

コーヒーはもちろん、毎日の食事の香りも味もわからない、文字通り地獄のような日々が続いたが、これまでなんの不満足もない人生を過ごしてきた自分にとって、ハンディキャップを持つ人の生活に想像を馳せる貴重な時間でもあった。

罹患から4ヶ月ほど経った12月に入り、ようやく大部分を取り戻しつつある嗅覚と風味。プロフェッショナルとしてのキャリアを絶つことも考えていた僕にとって、この4ヶ月間は忘れがたい経験だった。

この期間、焙煎を始め品質管理やレシピ構成など、味に関する僕の仕事の嗅覚になってくれたチームのみんなに感謝したい。

Earn your stripesという言葉がある。

軍隊の階級表現から派生した言葉だが、子ども向けの絵本では虎の縞模様に当てはめて使ってあった。

虎は困難に直面したとき、それを乗り越える事で縞模様が増えるというものだ。

人生にひとつ縞が増えたと捉え、寅年の2022年を迎えたい。

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